
株式会社ロケットメイカーズの配信トークライブ「Rocket Fund Radio」の音声コンテンツ及び記事コンテンツをアップしました。以下よりお楽しみください。
【開催概要】
開催日 : 9月16日(木)19:00~20:00
開催方法: オンライン
登壇者 :かつさんど氏(投資家)、モデレーター 八田浩(ロケットメイカーズ代表)
【音声コンテンツ】
【記事コンテンツ】
■はじめに「Rocket Fund Radio(ロケットファンドラジオ)とは?」
カリスマ投資家へのインタビューを通じて、一般投資家の皆様にはまだまだ馴染みの薄い「投資型クラウドファンディング」について、もっと知っていただき、リアリティを持っていただくという企画です。
■自己紹介
かつさんど氏(以下K):こんばんは!かつさんどと申します。名古屋市在住で、30代の専業投資家です。
大学卒業後、海外高級ブランドの日本法人に就職しましたが、入社してすぐにサラリーマンに限界を感じて、23歳の時に投資家になりたいと思いました。投資関係の本を百冊以上読んで、投資デビューをしました。
失敗をしながらも自分なりの投資戦略を確立し、資産を徐々に増やすことができました。
住居兼投資物件として購入したタワーマンションの売却益により、目標としていた資産に到達できたので2018年に会社を退職し、今は「FIRE」という生き方をしています。現在、ソーシャルレンディングと不動産クラウドファンディングに1500万ほど投資をしています。本日はよろしくお願いいたします!
■FIRE達成する前と後、投資スタイルは変わったのか?
八田(以下H):過去のブログ記事を読ませていただきまして、資産は不動産も含めると1億円を超えていると書かれていたかと思います。いわゆるFIRE、経済的自立での早期退職を達成されています。FIREが何か、というのはお聞きのリスナーはご理解されていると思うので、「投資においてFIRE前とFIRE後で大きく変わったことはありますでしょうか?」
K:元々投資家のBNFさんに影響を受けて投資を始めたので、FIRE前は短期売買が多かったですね。株式、為替、先物など幅広く取引していました。株式も新興株やIPOのセカンダリーなどボラティリティが高い銘柄の取引をすることもありました。
会社員でしたが、休みは自分で決められましたので、平日休みを多くして、トレードを頻繁にしていました。デイトレ中心で、毎日その日の利益を追求していた時期もありました。それなりに手法を確立していましたが、今から思うとかなりリスキーな取引をしていたなあと思います。
FIRE後は、資産を増やす取引というよりは、「資産を守る取引」を心がけています。具体的には年4%以上の利回りで資産運用することが目標です。
普通の個人投資家のメリットは資金を無理に投資に回さなくても良いところだと思います。マーケットの環境が良くなかったり、良いファンドが無いのなら投資する必要が無いと言うことで現金で持っておけば良いと思うんです。それで何の問題もないと思います。
でもFIREって年間の支出を不労所得でまかなうと言う、概念があるので、これを思うと資金を何らかの投資に回さないといけないという意識がどうしても強くなるんですよね。機関投資家に近い感覚を持ってしまうって感じで、それは当然リスクも同時に背負わないといけないということで。
そこで僕は考えて、少しの労働や副業での収入を高めて、不労所得と組み合わせて年間支出をまかなうようにするようになりました。「バリスタFIRE」とか「サイドFIRE」と言われているFIREのスタイルです。日本でFIREするなら、このスタイルが一番マッチすると思いますし、精神的にも楽かなって感じています。
ですので、FIRE後は安全性重視の投資にシフトしてきています。投資商品も分散投資を考えて、株式だけでなく社債やソーシャルレンディング、不動産クラウドファンディングもポートフォリオに組み入れています。今は現金比率が高くなっています。最近世間で盛んに言われている、FIRE向けのポートフォリオとは少し違うものになっていますが、これが自分らしいFIREのスタイルだと思っていますし、今のところ資金的にも問題なく、楽しく生きられているので、今はこれで良いかなと思っています。
■かつさんど氏の「サイドFIRE」という生き方
H:ブログで拝見したんですが、本屋さんでバイトされているんですよね?
K:そうです。FIRE前から通っている本屋で、縁があってバイトすることになりまして。もともと労働が嫌でFIREした部分もあったんですが…バイトを始めてみて、投資コーナーの選書やレイアウトなど任されるようになって、本が売れると嬉しいし、そういう気持ちになったのは初めてで。自分でも意外だったんですけど「もっと働きたい」「この店を良くしたい」と意欲が湧いてきたんですよね。
H:100冊以上、投資関連の書籍を読んできたということも職場には伝わっていたんですか?
K:はい、元々そこで投資関連の本を沢山買っていましたし、それと自分が投資家だということも伝えていました。なので投資コーナーを任されるようになったのかなと。お互いにとって利益があったということですね。
H:アルバイトなので、時給は1000円位ですよね?
K:はい、そうですね。
H:なるほど、面白いですね。一般的にFIREというと仕事を辞めてしまうというイメージありますけど。こういう働き方を「バリスタFIRE」「サイドFIRE」というんですね。
K:アメリカではスターバックスとかで働きながら投資活動で生計を立てる「バリスタFIRE」が多いみたいですね。
H:それってバリスタの時給だけで食べていけるわけではないと思うので、バリスタの仕事は純粋にやりたいからやっているということですよね?
K:アメリカの保険制度が関係しているんだと思うんですけど。たしか保険に入るためにアルバイトをしていると聞いたことがあります。日本でもアルバイトで年間100万円近く稼いだとして、そんなに難しい話じゃないと思います。その100万円を不労所得で得ようと思ったら5%で回したとしても2000万円かかる・・・2000万円の原資を自分の労働で賄っていると思えば、割のいい話かなと思います。労働所得と不労所得は別の問題はあるんですけど、それの金額だけ言ったらそんなにハードル高いわけじゃないと思います。なにしろ精神的にラクかなと。
H:もう「ライフスタイル」という感じですよね。
K:そうですね、自由に働くことができる・・・どこにいってもPC一つあれば投資できる。そういう自由さを求める人は増えてきているかなと思いますね。
■投資型クラウドファンディングに興味を持ったきっかけは?
H:今お話し聞いても、かつさんどさんのライフスタイル(書店での仕事と投資活動)が、充実しているのが伝ってきます。
さて続いての質問ですが、今までの投資歴、それから投資型クラウドファンディングに興味を持ったきっかけはなんですか?先ほどデイトレードなんかもやられていたという話もありましたが、そこから(投資型クラウドファンディングに)切り替わったきっかけやタイミングなどを、ぜひ教えてください。
K:先ほどお話ししたデイトレード・・・短期売買は、資産を大きく増やすチャンスがある半面、大きく減らしてしまうという怖さがあると言う事を身をもって何度か体験したことがありまして。もう一度、投資について考え直したことがあります。その時は熱くなって大きく負けて、この世の終わりみたいな気分になって、気晴らしに散歩に外に出た時に、世の中は一切何も変わってないんですよね。その時に「あれ?何やってるんだろう?」と思い、短期売買は極力やめようと思いました。勝つにしろ負けるにしろ、値動きに疲れていたんだと思います。
そんな時に、2017年くらいだと思うんですが、ソーシャルレンディングを知って、価格変動リスクがないことと、投資後の管理がいらないことにメリットを感じて、興味を持ったのがキッカケでした。元々、あたらしいモノや仕組みに興味を持つ性格もあったと思います。
H:(ソーシャルレンディングとは)FIREを達成する前に出会われているんですよね?
K:FIREを達成する資金が溜まる前に不動産売却すればFIRE出来ると思ったんで、そうなった時に投資手法どうしたらいいのかポートフォリオどうするのか、いろんな商品を混ぜたいな、と思いまして、・・・ソーシャルレンディングという仕組みがいいんじゃないかなと感じました。
H:先程おっしゃられていた4%ルール的なものがFIREにあると?
K:概念ですよね。年間支出の25倍の資産があれば、FIREが達成される。その資産が溜まって年間4%で運用益が上げられれば、その資産は減らないですよという計算になるようです…アメリカのトリニティ大学が発表している論文から出てきると思うんですが。
H:4%を達成するためには、値動きが無い・管理がいらないとすると、例えば社債とかもあるわけですが、なかなか利回り的に達しないですよね?
K: そうですね円建ての社債になってくるとなかなか難しいですね。トヨタ自動車のドル建ての社債持っていて、為替変動リスクはあるんですが、4%以上になってくると確かにリスク伴うなと思う反面、ただただS&Pなどにかけていけば今平均7%位の利回り得られる商品もあります。新しい商品を試していきたいな、と思います。
H:ソーシャルレンディングですが、最初のきっかけはどこだったんですか?
K:最初は・・・残念な結果になったところなんですけど(笑)
H:なるほど(笑)それはリスナーの皆さんも察しつつ・・・追々聞いていきましょう。
■いち投資家がクラウドファンディング会社にインタビュー!?その意図は?
H:ブログの中で、クラウドファンディング会社にインタビューされているのを見ました。これはどういう理由で始められたのですか?
K:インタビューさせていただいた事業者さんは、信長ファンディングさんとTSONファンディングさんで、二社とも私の地元である、名古屋市が本社の会社です。単純に、地元企業を応援したい気持ちで取材を申し込みました。あと、この事業者さんの情報があまり無かった時期でしたので、もっと情報を知りたい気持ちもありました。
ファンドの物件が東海地方の物件で、土地勘があるので、ぜひ投資対象にしたいと思って見た時に、不明点が結構あったので、直接聞かせていただこうと思ったことも大きな理由です。結果的に、新たな発見もあって、とても良い機会だったと思います。
H:ちなみにどうやってアプローチしたんですか?
K:ホームページの問い合わせから直接ですね。「私はこういう者で、投資をしたいと思っているんですけど。こういう疑問点があって、インタビューさせていただけますか?」と。
H:ストレートですね。
K:インタビューに関しては特にお金(報酬)のやり取りはなくて。ブログで発信すること前提ですが、色々聞かせてほしいとお願いしました。
H:信長と言えば名古屋が生んだ大スターですけど(笑)。名前からして色々聞きたいですよね。
K:そうですね。TSONさんは急に始まった事業者にも見えるんですが、書面での不動産クラウドファンディングをやっていて、償還実績もあります。ただ、ホームページ上に情報が無いんです。でも実は実績がある事業者なんですよね。
H:プラスになる情報なのに、なぜ出してないんですかね?もったいないですよね。
K:TSONさんは東京プロマーケットに上場されているんですよ。でも東京プロマーケット自体が詳しくわからないじゃないですか。だからそういうことも前面に出していった方がいいんではないかなと思ったんです。取材した2社とも情報発信をしてもうちょっとアピールしていけばいいのになと、地元の人間として思ったので、それも取材させていただいた要因です。
■投資型クラウドファンディングの投資総額や投資基準は?
H:今の二社も含めてなんですが、投資型クラウドファンディングに合計でどのくらい投資されていますか?
K:1500万円位ですかね。
H:なるほど。投資する会社やプロジェクトを選ぶ際の基準を教えていただけますでしょうか。
K:自分の中の基準として、クラファンの事業者を選ぶポイントは4点あります。
- 運営会社が上場企業、またはそのグループ会社で社会的な信頼性が高いこと
- 今までに充分な償還実績のある運営会社であること
- 社長の情報なども含めて事業者の情報開示がしっかりとされていて、分かりやすいスキームで透明性が高いファンドを組成していること
- 投資家のリスクを軽減する仕組みが採用されていること
この4点を重点的に見て、投資する事業者を選んでいます。
H:最初からこういう指標で選んでいたんですか?
K:いろいろあって徐々にこうなっていった感じです。特に3点目に挙げた、「社長の情報」っていうのは結構大きいと思うんです。その事業者の信頼性に関わるところだと思います。今まで事故をした事業者を見てみると、社長の顔・情報が見えてこないんですよ。社長含めたメンバーをしっかり発信してくれている事業者は信頼できるかなと。
H:私も頑張ります!(笑)
K:次に各ファンドですが、利回り、期間、は当たり前なんですが、不動産クラファンの場合は、対象物件の路線価や周辺の家賃相場は確認しています。家から近い物件は実際に見に行ったこともあります。
現物の不動産投資は当然、物件見学したうえでその投資物件を買うかどうか判断するので、逆に言うと、開示されている情報だけで投資判断しているリスクを最近は感じています。
現物不動産も勉強しているので、クラファンへの投資判断が厳しくなってきていると思います。ですので、素人の自分には担保価値を算出するのは難しいファンド、再エネ関連には投資しない傾向になってきています。
利回りに関しても、新規事業者のローンチの際のいわゆる「お宝(ボーナス)案件」以外の高利回り案件は避ける傾向にあります。具体的には6%以上の利回りの案件は、基本的に投資はしない方向で考えています。資金を守るためには必要な投資戦略かなと思っています。
H:ものすごい具体的ですよね!最近不動産クラウドファンディングはすぐ売り切れるじゃないですか、利回りがすごいのもいっぱいありますし。そう意味でいうと、なかなか厳しめに見られているということですよね?
K:今までこの事業者だったら大丈夫かなという妄信の信頼感だけで投資してしまって、事故に合ったりした部分もありますので、その辺の反省もいかして冷静にファンドを分析する、自分がすべて納得した上で投資する、どの投資商品でも当たり前のことなんですが。いつからかそれを忘れてしまって「出たから投資しよう!クリック頑張ろう」みたいになってしまった時もあって。それは事業者さんだけの責任じゃなくて、投資家として自己責任で投資しているんだから、厳しく見て、反省を活かしていきたいです。
H:最近不動産(クラウドファンディング)は活況ですし、考えられない利回りも出ていると思うんで、その中では厳しい目で見ているんだなと思いました。
K: 給与収入がないので、これがFIREの投資かなと思います。
H:さっき仰っていた担保価値ですけど、実際開示されている情報を見て「これ変なんじゃないの?」って思うことはあるんですか。
K:プロじゃないので何となくとしか言えないんですけど・・・例えば1981年でしたっけ?旧耐震基準のものだと、その担保価値だけで売却できるのかな?とか疑問は持ちますね。少しでもLTVが良いものに、できれば投資対象にしたいなと。
H:実際に見た時に、疑問が生まれるんですよね。
K:現物の不動産投資って、実際にものを見て、投資家が買うかどうか決めると思うんですけど。感覚的なものも大きくて、「ここにお客さんつくのかな?」ただただそれだけで。事業者さんを信用するのも必要ですけど、不動産クラファンは画面の情報だけで判断するので、自分の判断基準を持った方がいいのかなと。
H:駅から徒歩15分で特40年で利回り20%・・・え?ってなりますよね。
K:マジ?ってなりますよね。
■思い出深いプロジェクトは?
H:続いての質問ですが、思い出深いプロジェクト、プラットフォームはありますか?
K:2019年のCREALさんの「SOLA沖縄学園」という沖縄の医療と美容の専門学校のファンドです。
普段から投資家として、投資でお金を増やすこと以外に何かできないかという事を考えていまして、このファンドはこの専門学校に通う学生さんや、地域にとっても役に立つことで、社会貢献にもつながると思い、投資しました。ちょうどコロナが始まった時期で心配でしたが、毎月、運営のレポートを送ってくれてとても信頼できました。そして2020年8月に無事償還された案件です。今後もESG投資やインパクト投資の案件には積極的に投資をしていきたいと思っています。
H:昨今「ESG投資」「インパクト投資」はバズワードになっている部分もあると思うんですが、その中で見極める(投資する)ポイントはあるんですかね?
K:個人投資家で保育園や専門学校に投資するのは何千万円も必要なので難しいですが、小口化されれば可能になりますよね。僕らでも投資できるようになりました。
CREALさんに関しては償還実績もありますし、コロナで危うくなってもウルトラCで償還した実績もありましたので、何とかしてくれるだろうというのがあったので。最初からESG投資だからと言って、100%償還できるだろうとは思わない方がいい。事業者の信頼性に基づいて投資したほうが、投資家にとってもいい結果になるのではないでしょうか。
H:上場企業でもESGを掲げられている企業は沢山あると思うんですが、そういうところに行こう(投資しよう)とは思わないんですか?
K:例えばプロパティプラスさんは、ESGに基づいた不動産を作って、それを将来的にファンドにする。その理念にはすごく共感しています。不動産クラファンじゃないですけどFundsさんもE S Gには積極的だなと思っています。信頼がおけるところもありますし、今後も投資をしていきたいなと思っています。
■投資型クラウドファンディングは儲かるのか?
H:さて、だんだん核心に迫っていきますが、ズバリ投資型クラファンは儲かっていますか?
K:この前計算してみたら、少しだけ儲かっているだけです。複数回デフォルト案件にあたってしまうと、一気に利益を減らす傾向はあります。その辺りは投資全般としてのリスクなので、投資型クラファンだけの問題ではないとは思います。損したことを検証して、反省するのは良いことだと思いますが、それをずっと言っていても仕方がないので、次に募集されている案件でまた成功できればいいかなってポジティブに思うようにしています。
H:デフォルト案件もくらいながらも、少しだけ儲かっていると。4年位ですよね?投資型クラウドファンディングを始めて・・・。あとは、普段どうやって資産を管理されていますか?
K:エクセルで自分の作った簡単な表で投資先と金額や運用期間などを管理しています。月別の投資結果と総資産の表も作って日々確認するようにしています。FIREなので年間一覧表と支出管理の表もあります。とはいえFIREだからと言って極端な節約しているわけでもないんですが。
一時期管理が出来ないくらい投資していたので、今は管理できる件数に絞っています。あと事業者のホームページのマイページの資産のところは頻繁にチェックするようにしています。
H:事業者ごとにマイページがあるんで大変ですよね。
K:そうですね、事業者をだんだん絞るようにして、一つの事業者内で案件を集約するようにしています。信頼できる事業者の中で、複数の案件に投資しようと考えています。
■投資型クラウドファンディング業界への期待は?
H:投資型クラウドファンディング業界に提言したいこと、登場して欲しいものはありますか?
K:ソーシャルレンディングに関しては事故が少なくない印象もありますよね。投資型クラファン自体がまだ黎明期と言えますので、こういった事故を受けて、透明性と安全性の高い投資商品になっていって欲しいです。
最近話題になった事故に関して言うと、悪意を持った貸付先と、事業者側のずさんな管理が重なった結果の事故であり、これは投資ではないという結論で元本相当額が返還になったわけですが、個人的にはたいして分析もせず、この事業者だから大丈夫と言った過信の上で投資した自分自身にも非はあると感じていますので、反省して今後の投資判断に活かしていきたいと思っています。
登場してほしいのは、先ほど少しお話ししましたが、投資と社会貢献が融合したファンドです。
環境問題やよりよい社会の実現に積極的な企業を応援するためにも、ESG投資やSDGs、地域の活性化やインパクト投資というテーマのファンドには投資してみたいです。
ただ一番良くないのは、こういうテーマやワードを出して募集したファンドが、きちんと管理・運用されていないことだと思います。今後はそういうことが無いように、安心して投資できる健全で信頼できる業界になっていただきたいです。
H:ずさんな管理で詐欺まがいのものは論外ですけど、ふたを開けてみたら償還0%だったり50%みたいなものも過去ありましたしね。あと、投資と社会貢献が融合したという意味でいうと…仰る通りですし、私もそういった分野を目指したいところであります。社会貢献もし、きちんと投資家にも利益が還ってくるというのはどういうことなのか?っていうことですよね。
K:それが一番ベストだと思いますよね。事業者にとっても投資家にとっても社会貢献+投資商品としての魅力っていいことだなと思います。
■投資型クラウドファンディング業界、今後どうなる?
H:2021年の投資型クラウドファンディング業界はどのようになっていくでしょうか?
K:ソーシャルレンディングに入っていた資金が、不動産クラウドファンディングに流れる動きはますます加速すると予測します。投資家は透明性の高いファンドを求めていると思います。
また、いままで想像できなかった、有名企業とのコラボ案件や、新たにクラウドファンディング業界に参入してくる企業が出てくると、業界全体の注目度が上がると思いますので、期待しています。
またロケットファンドさんのように、ファンド型や株式投資型のクラウドファンディングも盛り上がってくるのではないかと予想します。株式投資型で取引所へのIPO案件が出てくると、一気に盛り上がるような気がしますので、そうなるといいなって期待しています。
H:今のところ東京プロマーケットに1件ですよね。
K:公表されているのは1件ですね。東京プロマーケット、相対取引で何件か、ですね。
H;株式投資型はこの数年市場が伸びていますが、まだ出口が無いので。投資家の皆さんどう思っているのかなと外から見てドキドキしていますが。
K:投資家サイドからいうと、投資家は起業家の夢に乗っかる、というのも魅力の一つで、株式投資型は体験できる投資だと思うので、体験がキーワードというのはいいワードだと思います。盛り上がっていくのかな、と思います。
H:200件くらいですかね、累計で。多分I P Oが2社でも出たら盛り上がりますよね。
K: IPOで上場する会社が出てきたら一気に盛り上がるのかな、と思いますね。
■最近の気になるトピックス
H:最近のかつさんどさんの注目トピックスについて教えてください
K:個人的な件と、業界全体としての件、2点あります。
1点目は、個人的な件で、「庶民のIPO」や「カブスル」のサイト運営をされている、カブスルさんという方がいらっしゃいまして、IPO界隈では有名なサイトだと思うのですが、実はこのカブスルさんを僕がお手伝いをすることになりまして、「株式投資型クラウドファンディング」を紹介する「カブクモ」というサイトと、「不動産クラウドファンディング」を紹介するサイト「トチクモ」https://kumo-funding.com/この二つのサイトをオープンすることになりました。
このサイトはクラウドファンディング投資を始めてみようと興味を持つ方や、投資初心者の方にも分かりやすくクラウドファンディング投資をご紹介するサイトを目指していきます。
将来的に、ロケットファンドさんも取材させていただきたいと思っていますので、その際はぜひよろしくお願いいたします。
2点目は、業界についてですが、
2021年上半期は、ソーシャルレンディングで非常に残念な大きな事故も起こり、あまり良い幕開けでは無かったですが、最近は、東証一部上場企業やそのグループ会社の事業者も増えて、明るい話題も増えてきました。
先日、アイフルグループが「AGクラウドファンディング」としてクラファン業界に参入を発表し、大きな話題になりました。
また、ロケットファンドさんの「ファンド型クラウドファンディング」の始動も業界として明るい話題のトピックスのひとつで、第1号ファンドの発表は個人的にとても注目しています!第1号ファンドについて、もし今出せる情報があれば教えていただきたいです。たぶんリスナーさんも知りたいと思います。
H:ありがとうございます。ちょうどプレスリリース(9月16日時点)を配信しました。9月17日から募集開始するシェアサロン事業運営ファンドですが、いわゆる美容家さん…(髪を切る美容師以外の)エステやネイルサロンの美容家さんが100万人くらいいるといわれていてスモールビジネスなんですよね。その方々が独立するときに、不動産物件を借りること自体がハードルが高いんです。与信で落とされたりとか、内装費用の負担が大きかったりとか、新規開業のリスクが高いんですよね。そこを解決するための「シェアサロン」です。いわば美容家さん向けのWe workのようなシェアリングビジネスモデルで、今回のシェアサロンファンドは、BeautySpaceGlobal社というのが事業主になるんですが、美容家の代わりに不動産を契約して美容家さんに月額でシェアしていく。内装や設備が整った場所に即入居できるというビジネスです。今2店舗運営されいて、3店舗目(の開業資金)をこのファンドで集めようとしています。
K:個人的には意外なファンドだと思いました。1号案件はITとかDX関連なのかなと想像していたので。現実的な事業で共感できるなと思いました。コロナが無かったらエンジェル投資にも興味があって、美容室とかに出資したいなと思っていたんですよね。AIとかよりも、身近な暮らしに寄り添うファンドなのがいいですよね。
H:どちらかというとマーケティングとかデジタルって手段だと思っていて。実業をされている方々はまだまだマーケティングやDXって進んでいないと思っていまして、我々はそこをサポートします。常々言っている「営業コンサルティング」をしっかりやっています。今後我々から出てくる全案件はマーケティングを磨き上げたものが出てくると思っていただいていいと思います。この辺については、リリース文にさわりだけ書きましたが、(BeautySpaceGlobal社についても)結構丁寧なマーケティングを積み上げてやってきました。コロナで出た空室も、我々がサポートに入ってこの半年で既存店は満室になりました。美容家さんからも「私も入りたい」という声もあって、3店舗目の新店開業に向けたファンドになります。
K:すごい現実的なファンドで、面白いですよね。次のプロジェクトも期待しています。
H:ありがとうございます!
■かつさんどさんから、八田への質問
K:あまりメジャーではない「事業投資型のクラウドファンディング」にどうして参入しようと思ったのか、そのきっかけを伺えますか?
H:長くマーケティング業界にいまして、これまでマーケティングは「大企業が広告代理店にお金を払ってやるもの」というイメージが強かったと思いますし、実際そういう部分もあったと思います。
私自身「企業の売上を上げるにはどうしたらいいか?」と十数年ひたすら考えてきて、再現性の高いノウハウやメソッドって事業者さんもみんなある程度持っていると思うんです。CMを発注するとか、高いコンサルフィーを払うとかっていうのは大企業にしか使えない手法なんですよね。なので、挑戦企業では同じことが出来ないというのがジレンマとしてあって。そこで、(大企業とは違う手法で)マーケティングノウハウを提供してから、資金調達をするというアイデアを思い付いたのが、きっかけになります。
このBeautySpaceGlobal社も、既に2店舗黒字化していて、続いて3店舗目を始めようというタイミングで資金調達に苦労されていて。銀行から見ると、ただの売上が小さい会社にしか見えないんですよ。でもビジョンがあって、これは応援したいと思った時に、自分たちだけでは解決できないので投資家の皆さんのお金を集めて、その事業が上手くいったら分配するという・・・この仕組みに感動しまして。
昔1500年位にアメリカ大陸を横断したコロンブスはこういう気持ちだったんだろうなと(笑)。要は「船に財宝積んで戻ってきます。リスクもあるけどリターンもありますよ。」と。もともとの株式会社の仕組ってこういうことだったなと。つまり、この(事業投資型クラウドファンディングの)仕組みに感動したっていうのが大きいですね。
ただ先行している事業者さんのファンド実績を見ると、芳しくないものも沢山見てきた中で、自分のマーケティングノウハウが機能するのではないかと思ったんですよね。
K:ファンド生成までの手順をお話しできる範囲で知りたいです。対象企業にはどのようなアプローチをするのか?とかすごく気になります。
H:生成までの手順は、少しほかの会社と違う部分があるかと思います。いわゆる法定のマニュアルがありまして、登記簿謄本を取り寄せて審査するとか、そういったことは他社と同じようにやっていますが、一つだけ違うのが、営業コンサルティング期間を必ず2か月以上設けるんですね。これは審査の前にやります。
まず一番初めに「社長のビジョンに共感できるか?」というのがあって。これは当社としても応援したいし、投資家にも共感してもらえるものだからやろうというのを決めます。そこから事業計画や営業計画を見させていただいて、そのまま審査に掛けられる会社というのがほとんど無いんです。これ(事業計画や営業手法等)が精緻でない場合が多いんですよね。それを2か月の営業コンサルティングを通して、社長とマーケティングを徹底的に詰めていって、その結果これは胸を張って(ファンドとして)出せるなと思ったものをやっと審査にかけるという流れになります。
K:おぉ、なるほど。
H:他の会社さんがどういう審査をされているかは分かりませんが…。少なくとも金融庁や財務省が定めるような審査はやられていると思いますが、(ロケットファンドの場合は)その前に営業・マーケティングコンサル期間を長めにとっています。そこが他社とは違うところだと思います。
■ロケットファンド、今後どんなペースで案件が出てくる予定?
K:そうすると時間をかける分、ファンドを継続的に募集していくということは簡単ではないと思いますが、例えば今後1年間で何件くらいのファンド募集をお考えですか?
H:今年は月1本くらいを予定・・・私の意気込みも含めてですが(笑)。営業強化の磨き上げや再現性も含めて、最初は時間かかりそうなので、今年はあと数本かなと思います。
K:投資家の方も期待度が高まったんじゃないかなと思います。
H:有難うございます!来年に関しては、既に営業コンサルティングをしているプロジェクトが複数案件ありますので、来年は少しずつ本数を増やしていきたいと思っています。
K:貴重なお話ありがとうございます!
H:こちらこそ聞いていただいてありがとうございます!
■最後に、かつさんどさんにとって「投資とは?」
H:それでは最後に、「かつさんどさんにとって、(クラファンを含めた)投資とは何か?」お聞かせいただけますでしょうか
K:私はFIREしていますので、資産を守り、生活を維持するためにも投資は自分にとって「必要なもの」だと思っています。
投資型クラウドファンディングは、価格変動リスクがなく、投資後の管理もいらない「待つだけの投資」で、尚且つ、比較的高い利回りを狙える商品だと思いますので、今後もポートフォリオには欠かせない商品だと感じています。
ただ、投資はギャンブルだとかインチキ臭いとか詐欺だとか、そういった間違ったイメージがあるのも事実で、それに関しては投資の正しい知識を付けてほしいなと思いますし、私自身もそういう発信が今後できればいいなと思っています。
投資の最大の目的は、お金を増やすことだと思いますが、それだけではなく、自分の好きな商品やサービスを提供する企業や組織を応援したり、地元企業を支援することもできます。また、環境問題やよりよい社会の実現に積極的に取り組む企業を支援する、社会貢献の目的も役割もあると思います。
私は、「投資は人生を豊かにし、より楽しくするもの」だと思います。
H: 「投資は人生を豊かにし、より楽しくするもの」・・・楽しくするというのがお話からもよく伝ってきました!とても参考になりました。最後はビシッと締まりましたね。
K:私もロケットファンドさんの1号案件の話を、世界で一番初めに聞けたと思うので貴重な機会でした。有難うございました!
H: かつさんどさん、根掘り葉掘り聞かせていただきありがとうございました!
リスナーの皆さん、長い時間お付き合いいただき有難うございました!